SharePoint Online でモダン エクスペリエンスを利用するメリット

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この記事は、以前の SharePoint サポート フォーラムの投稿を移行したものです。元の記事の最新の更新情報については、本内容をご参照ください。

SharePoint Online は複数の機能において、現在モダン エクスペリエンス/クラシック エクスペリエンスの 2 種類を提供しています。

クラシック エクスペリエンスを廃止する予定は現時点ではありませんが、SharePoint Online においてはモダン エクスペリエンスの利用を推奨しています。

今回はモダン エクスペリエンスが推奨される背景を紹介します。今後 SharePoint Online を快適にご利用頂くためにはモダン エクスペリエンスの利用を推奨していますので、本稿の内容を参考に、モダン エクスペリエンスの採用や移行を検討いただけると幸いです。


モダン エクスペリエンスが提供された背景

SharePoint はオンプレミス向けのサービスとして提供が開始されており、SharePoint Online はオンプレミス向けの SharePoint をベースに、クラウドの SaaS サービスとして提供が開始されました。

その後、Office 365 の普及に伴い SharePoint Online の利用者も大きく増加しています。データセンターも規模が拡大しており、SharePoint Online が稼働するインフラもサービス開始時とは大きく異なっています。


オンプレミス向けの SharePoint は主にイントラネットでの利用が想定されており、サーバーの台数も一般的には数台から十数台程度となりますが、複数のテナントでインフラを共有する SharePoint Online は大多数のサーバーで稼働しています。

この様なインフラの違いが影響し、SharePoint Online でオンプレミス向け SharePoint をベースに提供された機能を利用していると、パフォーマンスに影響が生じる事例が散見されるようになりました。

具体例として、オンプレミス向け SharePoint は主にフロントエンドサーバーのキャッシュを利用してパフォーマンスを維持していましたが、大多数のサーバーで稼働する SharePoint Online ではアクセスが毎回異なるサーバーに分散され、前と同じサーバーにルーティングされる可能性が極めて低いため、フロントエンドサーバーが保持するキャッシュがほとんどヒットしません。

キャッシュが利用できないため、フロントエンドサーバーやバックエンドデータベースの処理量増加により負荷が大きくなり、テナントのパフォーマンスが劣化した事例が多数あります。

従来のオンプレミス向けのアーキテクチャではクラウドのインフラでパフォーマンスを維持することが困難となったため、クラウドのインフラに最適化された設計で開発されたのがモダン エクスペリエンスとなります。


モダン エクスペリエンスが推奨される理由

SharePoint Online はマルチテナント型の SaaS サービスです。つまり、複数のテナントによってインフラが共有されています。
また、開発が継続されているため、各テナントに変更が都度反映されています。

このため、データセンター側の負荷状況の予測は非常に困難となっています。

モダン エクスペリエンスは、サーバー側の負荷状況の変動が影響しにくいように、以下の様な要素が取り入れられています。


  • CDN

    • 静的コンテンツを Office 365 サーバーとは異なるプロキシにキャッシュし、サーバーの負荷を軽減します。
  • クライアントサイド指向

    • サーバー側の処理を極力シンプルにし、クライアント側でビジネスロジックを実行します。
  • マイクロサービスアーキテクチャ

    • 1 つのアプリケーションを、独立した小さいサービスの集合で構成する設計指針。スケーリングが容易で、単一のサービスに問題が生じてもアプリケーション全体に影響が生じにくくなります。

また、モダン エクスペリエンスは引き続き積極的に開発されているため、機能の追加や修正が積極的に実施されていることも、モダン エクスペリエンスを採用するメリットとなります。

クラシック エクスペリエンスはレガシーな基盤である ASP.NET を利用しているため、新しい機能の追加や既存機能の修正が困難となっています。


なお、上述の通りクラシック エクスペリエンスが廃止されるアナウンスは現時点ではありませんので、この点についてはご安心ください。

しかし、クラシック エクスペリエンスにおいてはパフォーマンスに関する考慮事項が多くあるので、特に多くのユーザーによって利用されるクラシック エクスペリエンスのサイトにおいては、弊社公開情報を参考にパフォーマンスチューニングを実施することを強く推奨します。

タイトル : SharePoint Online のパフォーマンスをチューニングする
アドレス : https://docs.microsoft.com/ja-jp/office365/enterprise/tune-sharepoint-online-performance

タイトル : SharePoint Online ポータル パフォーマンス ガイダンス
アドレス : https://docs.microsoft.com/ja-jp/sharepoint/dev/solution-guidance/portal-performance


クラッシック/モダンエクスペリエンスの対応

各機能のクラシック エクスペリエンス/モダン エクスペリエンスの対応を紹介します。

クラッシック エクスペリエンス モダン エクスペリエンス
チームサイト、発行ポータル、など モダンチームサイト、コミュニケーションサイト、ハブサイトなど
サンドボックス ソリューション
スクリプト エディター/コンテンツ エディター Web パーツ
SharePoint Framework
アンケートリスト Microsoft Forms
タスクリスト Microsoft Planner
予定表リスト Outlook Calendar (Office 365 Groups)
ニュース(サイト)フィード、ディスカッション掲示板 Yammer
SharePoint ワークフロー Microsoft Flow (Power Automate)
InfoPath Microsoft PowerApps

モダン エクスペリエンスはクラシック エクスペリエンスの機能を完全に包括するものではありませんが、モダン エクスペリエンスでのみ実現可能なことも多数あります。

一例として、クラシック エクスペリエンスで慎重に考慮する必要があったリストビューのしきい値が、モダン エクスペリエンスでは抵触しにくくなっています。

これは新しいアーキテクチャによって最適化されたデータアクセスを実現しているため、しきい値自体は存在するものの、多くの場合に抵触しにくい実装となっています。

本稿ではそれぞれの差異についての紹介は割愛しますが、是非動作をご確認いただき、長期的に SharePoint Online を快適にご利用頂くためには、モダン エクスペリエンスの採用を検討いただけると幸いです。


追記

SharePoint Online でモダン エクスペリエンスをご利用いただく際のガイダンスとなる情報が公開されました。

タイトル : SharePoint でのモダンな機能のガイド
アドレス : https://docs.microsoft.com/ja-jp/sharepoint/guide-to-sharepoint-modern-experience

モダン エクスペリエンスをご利用を検討される場合、こちらの情報も事前にご確認いただけると幸いです。

※本情報の内容(添付文書、リンク先などを含む)は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。